停滞期と個人依頼

休養したので心機一転、初心にかえって元の病院で働き出そうかと考えているが、同じように働き始めても今までと同じになってしまうので、作戦をたてた上で復帰しようともくろんでいるところ。早く仕事したい。

  

一月後半から2月にかけてモロッコを離れた期間があった。離れることへの戸惑いや少々の罪悪感もあったが、それはそれで新たな発見があり、結果的には離れてみて良かったと思えた。

人によっては任期の二年間、任国から離れないという人もいる。それはそれで立派なことだと思う。でも、離れる理由があるなら、それを自分なりに良い部分をとらえることで自分にプラスにしたいと思う。

少し抜けたアラビア語と元々崩壊しているフランス語に関して、今から本腰を入れて何とかしないと、あと1年しかないという焦りもあるが、焦っても仕方ないのでマイペースにやっていくこととする。

 

職場に行っていないにしても、たまたま偶然が重なったのだと思うが、ここ最近我が家に訪れる人たちにやたら医療の仕事を頼まれる。

 

一つ目は、不動産屋の人で家賃払いの領収証を書いてもらいに来ているとき。

親戚の子どもが病気で△病院でみれないから■病院にみてもらうよう紹介状をもらったんだ。どうか、コーキ(私の名)の顔で小児科医につないでくれ、と。

 

この話の背景には、■病院は国内有数の専門病院で全国から患者が集まってくる。そのため一般的に紹介状をもらっても、医者との問診の約束がとれるのが、3~6か月後。だから、私が誰か医者と話を通せばすぐに診てもらえるかもしれないという期待がある。

詳しくわからなかったので何とも言えないが、話を聞くとそこまで悠長に待っていられない状況かもしれない。しかし、医者の診察を3~6か月待っている子はみな平等に速やかに診察されるべきなのである、本来であれば。誰も僕私は「後でいい」という子はいない。聞いてすぐの段階では、一人だけ知り合いだからってその子を特別待遇させるのはいかんじゃろと思った。日本の感覚ではありえない。「自分の身内の子どもを今すぐ診て」とトリアージや待合室をすっ飛ばすなんて…と考えた。でも時間がたってくると本当にこれでいいのかと考え始めた。

たまたま自分のところに声がかかった人に肩入れするのは不平等、いや、どっちみちみんな困ってるんだから、せめて自分に声がかかった子どもだけでも助けてあげたほうがいいのか。

でも、今回の件ばかりはすぐに決められないし、何が正しいのか、自分がどうしたらいいのかわからない。

何のために来たのかといったらモロッコの子どもと家族たちの健康を軸にした生活が少しでもよりよいものになるためという明確な課題がある。

しかし、待っている誰かを更に待たせて、(あるいは犠牲にしてともいえる)自分の知り合いの家族の子どもをさきに受診させるべきなのか-。

 

 

二つ目には、家のドアがとんとんと叩く人がいる。誰かとみると上の階に住んでいるセレブのマダム。私が具合悪いから注射をしてほしいとのこと。

とにかく家に来てほしいというので、戸締りをして階段を上ると、家にはアンプル2種類と注射器と針と注射指示票の紙。これをお尻に打ってほしいと言われた。

ただ手書きの指示書と彼女の話すアラビア語が完全には理解できず、一回量はいくつなのかと聞いても明確な返事もなく…4日間注射するんだとは言っていたが。たぶん彼女はアンプル1本打たれる気なのだろう…大人のことはわすれつつあるが、確かに大体一回1アンプルで使用できるようになっていると思われるが、怖い。薬液の種類を辞書で調べるが出てこず…確認をしている最中もとりあえずいいから注射打って注射打ってとまくしたてるマダム…(人のことを待てなかったりまくしたてたりするのはモロッコでは普通のこと)。

家から自前の手袋と消毒液をもって感染対策をとったとしても…なんの薬かもわからないものを人にうつことはできない。

ごめん、わからなくてできない。家を後にした。

他の看護師にあたると言っていた。何もできなかったのに揚げたての揚げパンを一つくれた。申し訳ない。ありがとう。

 

 

バレンタインの朝、通りの道路に路駐されている車全てにプレゼント。風船とお店の割引の札が…注意力低めのモロッコ人絶対何台かタイヤの飾りに気づかずに発車して巻き込むんでないかと思うと、少し心配…。

こちらでは男女問わず、愛する人に花をプレゼントする習慣があるそうで、花屋は朝から忙しそうだった。私はやっぱりチョコをあげたい日本人。地球のだいたい裏側の日本で、勝負をかけて意中の男性にチョコレートをあげている女性たちがどれだけいるんだろうと勝手に思いをはせながら…

 

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つづく