わたしと9.11

色々とあり職場と揉めて愛想をつかし、「もう働かない」とたんかをきり、現在仕事放棄中。

 

職場に実際に戻る戻らないは、さておき、自分自身には一人でゆっくり考える時間がほしかった。頑張ればこのまま進むこともできるかもしれないけど、あとで後悔しそうな予感がしたので、自分が納得するまで時間をもらうことにした。


【最近の私】

その少し前から取りつかれたように、9.11のことが気になって、ひたすらインターネットで調べていました。インターネットでは(恐らく)いろんなあることないこと…書いてあり、どれを信じるかは自分の判断ですが、自分自身としては、どうして今こんなに私が9.11について知りたくなるのかということも疑問の一つでした。

 

いろんな考えの方がいると思うので、私の文章を読んで不快な思いをされる方がいたら、本当にすみません。でも、私はいろんな考えがあるからこそ、いろんな思いを持てるからこそ、世の中がカラフルになって、魅力が増していくのだと思います。だから、いろんな考えがあるのは(勿論、私と正反対のことをいう人がいたとしても)いいことだと思っております。

私としてもあまり政治的なことは書きたくないのですが、どうしても今回は書く必要がありました。ご了承ください。


 【わたしにとっての9.11】

 当時。私はまだ学生で、学校帰りに妹と一緒にリビングのテレビをつけてニュースを目の当たりにして事件を知りました。

「何だかアメリカで大変な事故があったらしい」「沢山人が死んでいるらしい」「ビルに飛行機が突っ込んだ」「ニュースキャスター(日本人)がとても動転している」という印象を受けた記憶が残っている。

幼き頃の私は今と変わらず、勉強ができるタイプでも世の中のことを知っているわけでもなく、のほほんと生きていたし、今も比較的のほほんとしていると自覚はある。

ただ、その事件をきっかけに私はイスラム教という宗教があるということを知った。皮肉なことに、私にとって9.11がイスラム教との出会いであった。

それから、ほどなくブッシュJr大統領はビンラディン容疑者をかくまっているとしてアフガニスタンを侵攻、その後の流れは、皆さんご存知と通りかと思います。様々な解釈があり、調べれば調べるほど、謎と闇が残る事件です。

9.11を通し、宗教とは、信仰とは、国とは、戦争とは…どうしてこんなこと起こりうるのだろうかと、子どもなりに私が考えるきっかけとなりました。少なくともその事件以降に自分の眼が外の世界に向いたのは間違いなかった。


思い返せば、JICAの面接のときに面接官に「モロッコはどうかしら?」と言われたときに、「どこでも行きます。行ったら行ったで何とかなるだろうし、イスラム圏も興味はあります。日本ではあまりメディアにいいように取り上げられていない印象があるけど(すべてを把握していないのでそれも私の主観でしかないのだが)、でも、だからこそその中に入ってみて知りたい…」というような主旨を言った記憶がある。


【なぜ今9.11なのか】

自分でもどうしていきなり9.11が気になり始めたのかわからず不思議に思うこともあった…

でも、今回私がとりつかれたように9.11を調べ始めたのには、やはり、トランプ大統領イスラエルの大使館移設発言。その発言によるムスリムであるモロッコ人たちの反応を生活の中で見たことが大きいと思う。駅前では人々がデモをしていたし(いつも人があふれる土日の夕方、近所から人が消え、男性たちはおそらくほとんど駅前あたりに集まっていたのではないかと思われる・・・デモに近づくでない、気を付けよ‼とお達しが来たため、私は自宅で過ごしていた)、抗議的な内容をSNSなどに載せている知人も幾人かいた。日本ではみない光景であった。


私はもともとイスラム教やユダヤ教を含む中東について深く知りたいと思っていたため、モロッコに来てまもなくからイスラエルパレスチナをめぐる問題をあつかった本を色々な角度から読み漁り、結果的に、知れば知るほど無力感に襲われるというその名の如く絶望に陥った。ここに足を入れたら帰ってこれなくなる…そして、私の頭の中でさえも手に負えないと思い、しばらくそのへんの文献からは距離をとり、自己防衛した。しかし、今回のトランプ大統領の一件で、やはりアメリカが気になる。そして、9.11が気になり、結果的にひたすら事件について調べていた。

 

この頃、9.11が気になって仕方ないんだと、日本人と話していたら、池澤夏樹著の「新世界へようこそ」に9.11のことが詳しく書いてあるから読んでみたらといわれた。9.11以降に池澤氏がメールマガジンとして配信していたものとその内容に対する読者の返信やそれに対する意見などや、参考文献なども多くある読み応えのある文献であった。はじめは9.11のショックから始まり、なぜこのような攻撃が行われたのか、なぜアメリカはこのような態度に出るにか、他国との関連、戦争とは、アフガニスタンパレスチナ問題、イスラム教、

勿論私は、池澤氏の意見に賛同する部分もあれば賛同しきれない部分もあったが、自分の中でつっかえていたものは取れた。

自分がモロッコに来て9か月、ずっとモロッコ内で「やい中国人!」だの「きみムスリムでないの?(驚愕にちかい)」だの色々と言われたり、「別に中国も日本も同じ顔してるし一緒でいいじゃないか」などと一緒に働く同僚にすら言われたり…そういう中で少しずつ溜まっていく鬱積のようなもの。

でもそれは、自分が日本を出て少数派になって初めて知ったこと。

池澤氏の本の中からも読み取り自分のつっかえていたものとして「自分と異なるものに興味を持ち、知り、その違いを尊重するとこと」それは私がモロッコに来てからずっとそれだけは大事にしようと思っていることそのものだったし、ここにも以前書いたこともあった。とても大事だと理解している。でも、現実には職場のスタッフと喧嘩し、現在、仕事放棄中の身なので何も言えないのだが…現実は厳しく苦しいものである…

病院の中の数十人のスタッフと1人の外国人でさえこんなにも難しい。共通の認識や同じ方向を向いていくことが、こんなにも難しい。(職場の受け入れ状況などにもよるのだと思うのだが)

それが、何百人、何千人、何万人…国や地域という単位になったとき、それは非常に非常に難しくなることが身をもって理解することが出来た。ある意味では、私が9.11の疑問の答えがモロッコにあった。

 

結局一人では根本の根っこまで掴む方法も知らないし、力もないし、できることは限られる。

でも初めから何もできないとわかったうえで日本を出てきたんだから、できないなりになんとかしないといけないと思い、さて、どうしたものか。

 

新年一発目から実におもーい話であった…



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年末最後の夕陽。

毎日、ここの夕陽は私を癒してくれる…しかし、最近雨が多く見れないことも多い。


続く。