知らない間に進んでいた関係づくり

先日に行われた式典へそれぞれの配属先でお世話になっているモロッコ人を招待できるということで、私は配属先で面倒を見てくれている看護長にぜひ来てほしいと招待した。

始めの頃、彼女との関係に悩み…たぶん彼女自身も私を警戒していたのであろう。体調が悪くても帰らせてもらえなかったり、話しかけても話を聞いてもらえなかったりしたが、今まともにやりとりできるようになったのはこの式典に招待したことが大きかったと今になって思っている。

式典に招待したい人は沢山いた。でも、たった一人を選べと言われたため、個人的に良くしてくれている人でなくビジネスとして人選した。私としては心苦しくもあったが、仕事なので仕方ない。

式典の前日には、明日●●時から△△でやるからよろしくねとショートメッセージを送る。当日の朝、開始後30分して彼女が現れないため、これはおかしいと思い電話してみると「え~?昼からじゃないの?」と。これは来る気ないやつだなと思いながらも、もう始まってるから仕事落ち着いたら来てねと伝え電話を切った。

式典プログラムはほとんど滞りなく進んだ(日本でこれは普通ですね)。

式典終了30分前に、まさかの看護長から電話が入る。「今から行くけど、△△でいいのよね?」と。

 

私は、本当に本当に嬉しかった。

 

彼女が到着したときにはプログラムは終了しており、食事もほとんど撤収されていたけれども、多忙な勤務の中で、時間を割いて、自分で車を運転して、職場から10分の距離と言えど…本当に嬉しかった。

私と彼女にとって、職場の外で会うのは初めてでもあり、お互いにとても新鮮であった。仲間の隊員さんを紹介したり、一緒に写真を撮ったり、写真を送りあったり。

 

やはり、その後から明らかに私の話を聞いてくれるようになったし、学生たちに「コーキー(私のモロッコの俗称)は日本の看護師だから彼女と一緒に保育器を拭きなさい」と学生を一喝してくれるようになったりした。

ついこの前、夜に作成したプランを彼女宛にメール送信した翌日。彼女の方から、「この仕事が終わったら、あなたと話すから待ってて」と言ってくれた。実際にその日は、彼女が多忙すぎて話ができなかったのだが、勤務終わりには「今日は時間ないし明日は祝日だから、月曜に話しましょう」とそれも彼女の方から声をかけてくれた。今まで送信したメールに返事をもらったことはほとんどなく(仕事のメールに返信が必要な内容でも返信しないのはモロッコで一般的なことなのでもう驚きません)、口頭で上記のような声掛けを彼女からかけられるということは、私にとって砂漠が草原になるくらい劇的な変化であった。

 

どんな職種で何をやるにしても、人と人のことだから、まずは医療をさておき人間関係づくりに全力を注ぎますと周囲に伝えて活動していたし、前任の方が大変苦労されたと聞いていたから、私も人間関係を築けるようになるのに、1年半くらいかかるかなと思っていた。医療をおざなりにしてでも、力を尽くしたかいがあったのかもしれない。

 

でも、まだ何も始まっていない…

さて、どうしたらいいだろう。視察疲れなのか、無気力と倦怠感がなかなか続いて、どうしたらいいだろうと弛んでいたところ、ひょんなことで雷に打たれたように初心に返り、心を改めることができた。いつも、いつも、私は周りの人に恵まれ助けられている。

その内容については、次回に。

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ハッサンⅡモスクの外観。

これは、メッカに次いで世界で2番目に大きいモスクがカサブランカにあります。ハッサン2世(現王様の前の王様)がコーランの一節から、海に浮いたように見えるこの地にモスクを建てたいと言い、国内外から技術者を集めて建てられた、祈りと芸術の傑作。

外国人は1500円ほど支払えばお祈りの時間でないタイミングで、ムスリムでなくても見学できる。勿論中も入ってきました。ジュラバ(こちらの伝統的な服)とフラー(髪を隠す布)をまいてモロッコスタイルで気合を入れていざカサブランカへ。住人としてモロッコ人価格で入れてくれた、感謝です。

他の見学者たちがどんどん出ていく中、みんなこういうところにお祈りしにきてるんだ~と、モスクに見惚れてモロッコ人のようにマイペースに写真を撮りまくっていたら、警備員1が「ちょっと、そこの君急いでよ」と私を注意する。すると警備員2が「彼女はラバト人(住んでる人)だから」と言う。そうくると警備員1が「おーそうなんか、ゆっくり見てきんさい、君、ここで仕事してんの?」と。情にあついんだかテキトウなんだか、でもモロッコらしい会話である。とうの、モスク中の写真はとっても美しくて、神聖な場所のものなのでここには載せられない。私だけ独り占めしようと思います。

期待を裏切らず、とーってもきれいでした。

 

続く。