交通事故

先日夜の在宅中に、ドンガシャーンという派手な音が外から聞こえました。

 

ロッコは日本と比較して交通事故が10倍?などと言われています。

たしかに運転は荒いし、注意散漫で、先日もタクシー乗車中に危うく前の車に突撃する‼というハラハラしたこともありました。こちらの車自体、事故車両でもお構いなしで、ぐしゃぐしゃのまま使われている車もよく見かけます。

 

やれやれまた事故かぁと窓の外を見ると、なんと道路の真ん中に女性がうずくまっている‼周りに野次馬が囲んでいるが何の処置もされていない様子。とりあえず、家の玄関の鍵だけ閉めて、女性の元まで行った。

今のところ、意識ははっきりしているし、脈も触れる、血圧も保たれている。身体の中はわからないが、明らかな外傷性の出血はなかった。ただ、全身が痛いと言っていた。野次馬に話を聞くと、女性はバイクに乗っていて、交差点で車へ突っ込み、ぶつかった後にバイクが回転して地面に体を打ち付けてそのまま動けない状態との説明であった。彼女はちゃんとヘルメットをしていた。本当に、本当に良かった。こちらのバイクドライバーはヘルメットをしている人の方が少ない。もしもヘルメットをしていなかったら、彼女の状態は大きく変わっていただろう。

野次馬は沢山いるが、彼らは何もしない。とりあえず、野次馬がいるおかげで通り過ぎる車は、彼女をひくことなく避けてくれるくらいだった。たまたま、同じマンションに住んでてお世話になっているお父さんがいたため、彼に毛布をもってくれとたのみ、身体にかけたが、他の人に毛布をもってきてといっても誰ももってきてくれない。毛布なんていらないという。私が彼女の体に触れようとすると「触るな」といちいち言ってくる。そのたびに「私は看護師」と一人一人説明しないとガチャガチャ言ってきたり、私を彼女から引き離そうとしたりしてくる。こんなときも、モロッコ人は周りにいる人たちで一致団結して協力して彼女を助けようとしてくれない。

野次馬に確認すると、彼女の家族にも、救急車にも電話済みだと言っていた。途中で家族が登場する。途中で医者と名乗る男も登場した。だが、医者と名乗る男は、身体を動かすな‼彼女が意識を失わないようにずっと声をかけ続けろ‼と私に指示しどこかへ消えた。

こんなことに遭遇するたびに、私は、小児看護師だし、循環器と新生児しか知らないから、救命の現場に関しては一般人同様なもの。出国前に、駅で具合を悪くしている人がいたときも、すぐさま、近くにいた救命の看護師に助けを求めた。看護師なんて言えない。情けないし恥ずかしい。

とにかく、手を握りながら彼女に「救急車は来る。あと少しだ。救急車は来る。病院に行く。大丈夫だ。あと少しだ。救急車は来る。‥‥」とエンドレスで声をかけ続けた。循環と呼吸の確認をし続けるという対応しかできなかった。病院の外に出ると本当に無力である。

 

事故後15分後くらいに、救急車登場。(私としては、モロッコの割に早く来てくれたと思った。たぶん、場所が町のど真ん中であるからだと思われる。)

担架を彼女のわきにつけたと思うと、4・5人で身体を持ち上げ、ダイナミックに担架へドーン‼痛いと私が悲鳴を上げたくなってしまった。

救急隊も周りにいる人に状況を聞くでもなく、状態を確認するでもなく、とりあえずけが人だけを救急車に乗せて、病院へと走っていった。

 

 

ロッコの道を歩くのに慣れてきて、車の間を縫って道を渡って行くのに慣れてしまったけど、絶対に事故にあわないように気を付けたいと改めて気を引き締めた夜だった。

ここで、看護はしてもいいけど、患者にはなりたくない。

 

 

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トウキョウでもオオサカでもキョウトでもなく…サイタマ‼

サイタマ出身者としては嬉しくて思わず写真を撮らせてもらいました。先日の日本人祭にて。祭りに来た人たちはみんな日本マニアばかりだった。それはそれで面白かった。

 

続く。