ラブレター

ラブレターをもらって嬉しくない人はきっといないだろう。好意とは、誰からいくらもらっても、嬉しいものだ。

 

所属先の看護長の一人は、私よりひとつ歳上の女性。

とってもチャーミングで可愛らしいタイプの彼女。フラー(頭に巻いて髪を隠すムスリム女子の布)やナース服もガーリッシュなものが多く、彼女の好みが読み取れる。

看護スキルもなかなか高く、それはダメ感染になると言ったり、クベースを拭きなさいと言ったり、彼女の看護長としての腕はなかなかいいと思い、私は心から尊敬している。

そして、なかなか可愛いところもあり…自分が一番じゃないとイヤ‼という一面も。彼女は多忙であり事務室にこもっていることが多いが、私はフロアで過ごす時間が長いため必然的にスタッフとどんどん仲良くなる。しかし、看護長には積極的に話しかけるが忙しくてなかなか話し込むことはできない。私が他の人と仲良く話してお茶していたりすると、ちょっと嫉妬するらしい。でも看護長だから威厳は保ちたいらしい…女心は複雑でなかなか大変そう。

 

もう一人の看護長は男性でもともと日本好きらしく私をみると「おはようございます!」食事中には「おいしいですか!」とか言ってくれて、多少私のことも気に入ってくれているよう。そういうこともあいまって…

帰り際に、ぷんぷんした看護長に嫌みを言われた。

別に私が看護長の席を横取りする訳でもないが、日本から来て、モロッカンにはないスキルがあると思い私を恐れているよう。

定期的に看護長への愛を伝えないと彼女は不安になるらしい。

 

その日の夜に、作戦計画をたてる‼

その名もラブレター作戦‼

ただわたすんじゃなくて、愛が伝わる方がいいなぁと考えていると…学生の頃も授業中に手紙を書いてハート型におってまわしたりしていたことを思い出す。

 

大した内容は書いてない。

いつも忙しいのによく働いていて尊敬してる‼私はもっとあなたと話して仲良くなりたいわ‼…そんな感じの内容。

 

前に折り紙してトトロつくったら他のモロッカンの受けは微妙であった。でも、彼女はハート型とか意外と喜びそうな気がする…やってみるか。その手紙を例のハート型に折った手紙を彼女にひさまづいてラブレターよ!と渡す。

すると、彼女の眼がハートになった。

「まぁ、こんなかたちに出来るの。エクセレント。私のこうやってあなたに手紙を書くわ‼」と。

その後、よほど嬉しかったのか…ハート型になんて全く興味無さそうなおばちゃんに「みて、●子がハートの手紙くれたの!」とみせびらかして自慢をしていた。

 

 

やってやったぜ‼と思った。

 

でもまた、そのうちぷんぷんするだろう。愛は注ぎ続けないといけない。

 

つづく。