考古学博物館

 

先日、事務所のスタッフとたわいもない話をしている中で、そろそろ任国外の旅行とかの計画とか立てないんですか?と聞かれた。まだ、私、この国の首都しか知らないのに外国に行くなんて考えもしなかった…活動のことしか考えていなくて視野が狭くなっているなと反省。その日の夜に「地球の歩きかた~モロッコ~」をひらいてパラパラめくってみる。

歴史に詳しい人に教えてもらった話によると、モロッコにはたくさんの遺跡がある。しかも古代ローマ時代のものがイスラム圏であったために、破壊されることなく残されているのだそう。ヨーロッパはまた事情が変わってくるとのこと。

観光地や都会は別に旅行でも行ける。せっかくこの2年間で行くなら住んでなくては行けないところや、つてがいないと行けないところに行きたい。いや、そもそも今住んでいる首都自体もまだ行ってみたいところがあるなと、首都の観光案内ページを開いていると「ラバト考古学博物館」という場所があることを知った。しかも、ペラペラページをめくって、「ここの遺跡いってみた~い♡」と思っていたところから出土した品物も展示されているとのこと。しかも入館料はたった100円。期待できないかもしれないけど、気軽に行けるし、これはもういくしかない。

早速、場所を調べながら行ってみた。お客さんはまばらで少なかったが、100円にしてはなかなか見ごたえがあり楽しかった。紀元前の人たちが、何を想いこれを作ったんだろう、どんな思いを込めたんだろうと勝手に考えながらみてまわった。結局、人間はいつの時代も変わらないんだなと思う。ダメもとで聞いてみたら、フラッシュさえ使用しなければ写真撮影が可能であると。一眼を家に置いてきてしまったことは残念であったが、携帯で沢山写真を撮らせてもらった。アジア人がくるのが珍しいのか、私が展示物を見てテンションが上がり過ぎているのをみて嬉しかったのか、こいつ写真撮りすぎだなと思われていたのか…理由はわからないが、途中から警備員さんがフランス語で解説してくれた。ありがたい。モロッコの地図の中からどの地域からどのようなものがでているのかをデジタル表示したようなものまであり、丁寧にその使い方までレクチャーしてくれた。館内にいい感じの景色の写真を見つけ、「それはどこの遺跡だ」と聞くと、なんと「ラバトだ。タクシーで5分で着くぜ!」と守衛さんが教えてくれた。お腹がすいたので、遺跡への梯子はせずに引き上げてしまったが、また今度気が向いたら行ってみよう。

贅沢な休日であった。明日からまた働こう。

 

館内で撮影した中から少しピックアップして。

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ワンちゃん。警備員さんの解説によると口から水を出していたらしい…

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ロッコらしい色合いとデザイン

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よくみると

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落ちとるやん。さすがモロッコ

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これをみたら、人間って変わらないんだなと思った。

 

 

つづく。

ラブレター

ラブレターをもらって嬉しくない人はきっといないだろう。好意とは、誰からいくらもらっても、嬉しいものだ。

 

所属先の看護長の一人は、私よりひとつ歳上の女性。

とってもチャーミングで可愛らしいタイプの彼女。フラー(頭に巻いて髪を隠すムスリム女子の布)やナース服もガーリッシュなものが多く、彼女の好みが読み取れる。

看護スキルもなかなか高く、それはダメ感染になると言ったり、クベースを拭きなさいと言ったり、彼女の看護長としての腕はなかなかいいと思い、私は心から尊敬している。

そして、なかなか可愛いところもあり…自分が一番じゃないとイヤ‼という一面も。彼女は多忙であり事務室にこもっていることが多いが、私はフロアで過ごす時間が長いため必然的にスタッフとどんどん仲良くなる。しかし、看護長には積極的に話しかけるが忙しくてなかなか話し込むことはできない。私が他の人と仲良く話してお茶していたりすると、ちょっと嫉妬するらしい。でも看護長だから威厳は保ちたいらしい…女心は複雑でなかなか大変そう。

 

もう一人の看護長は男性でもともと日本好きらしく私をみると「おはようございます!」食事中には「おいしいですか!」とか言ってくれて、多少私のことも気に入ってくれているよう。そういうこともあいまって…

帰り際に、ぷんぷんした看護長に嫌みを言われた。

別に私が看護長の席を横取りする訳でもないが、日本から来て、モロッカンにはないスキルがあると思い私を恐れているよう。

定期的に看護長への愛を伝えないと彼女は不安になるらしい。

 

その日の夜に、作戦計画をたてる‼

その名もラブレター作戦‼

ただわたすんじゃなくて、愛が伝わる方がいいなぁと考えていると…学生の頃も授業中に手紙を書いてハート型におってまわしたりしていたことを思い出す。

 

大した内容は書いてない。

いつも忙しいのによく働いていて尊敬してる‼私はもっとあなたと話して仲良くなりたいわ‼…そんな感じの内容。

 

前に折り紙してトトロつくったら他のモロッカンの受けは微妙であった。でも、彼女はハート型とか意外と喜びそうな気がする…やってみるか。その手紙を例のハート型に折った手紙を彼女にひさまづいてラブレターよ!と渡す。

すると、彼女の眼がハートになった。

「まぁ、こんなかたちに出来るの。エクセレント。私のこうやってあなたに手紙を書くわ‼」と。

その後、よほど嬉しかったのか…ハート型になんて全く興味無さそうなおばちゃんに「みて、●子がハートの手紙くれたの!」とみせびらかして自慢をしていた。

 

 

やってやったぜ‼と思った。

 

でもまた、そのうちぷんぷんするだろう。愛は注ぎ続けないといけない。

 

つづく。

ナイチンゲールの精神とは

昨日の朝、一緒に仕事し始めた看護師が「もう終わり終わり‼」と言い、今朝帰っていった。おかしい、彼女は24時間働いていたのだろうか…

ここでは、医師は24時間交代。看護師は12時間交代がノーマルのはず。

 

受け持ちの人数は多いし、重症度も重い。これじゃ、日本人だって疲れて嫌になってしまう。誰がここで思いやりのあるケアを出来るだろうか。

まだ3ヶ月しかたっていないが、私のなかで、彼女たちは何も悪くないという結論に至る。日本人から来た人は、ナンダコレ‼全然働いてないじゃないかと言うだろう。でも、こんなに一生懸命働くモロッカンをここ以外で私は見たことがない。

ここにいるスタッフは、スタッフなりにとてもよく働き、本当に頑張っている。誰も悪くない。ただ悪循環から抜け出せないだけ。悪いのはシステム。

システムをつくり運営して評価して修正することが、モロッカンは苦手なんだという印象はある。あと、憶測したり予測したりするのが苦手で、目の前に見える世界しかイメージ出来ないようにも感じる。これは国民性であるため、ここへの働きかけは難しそうである。スタッフに向けてKYTとかやってみてもいいかもとは思うけど、大混乱を招くかもしれない。なんでそんなことやるんだと非難の嵐かもしれない。どうだろう。ゆっくり考えたい。

  

研修生でいつも看護長にあれこれ指図されて振り回されながらも文句ひとつ言わずに働く彼女がいる。

今朝もまさに山のようにたまった哺乳瓶をもくもくと一人で洗っていた。

「どうして一人なの?私に手伝わせてくれない?」と聞くと、真顔で「いらない。」といわれる。いったん、調乳室からでる。外にはおしゃべりし続けるマダムたち。彼女たちは椅子に腰掛け、勿論のこと手は動いてはいない。

私はいつもこの光景を見るたびに悲しくなる。そして、遠くからお腹を空かせた赤ちゃんの泣き声。

改善という概念がないから、毎朝同じ景色。これはなんなんだろうか…と自分だけが思う理由を考えてみた。

 

日本の看護師の道徳観なのか…心意気なのか。

看護の対象者は患者である。患者のための看護をする。困っている人がいたら助ける。仕事が大変な人がいたらみんなで手伝って終わらせる。それぞれ自分の好きな分野や必要な知識を継続的に学ぶことがよいと認識している。また多くの看護師が、今日よりも明日はもっとよいケアをしようという志を持っている。

 

という私の当たり前は、勿論私だけの当たり前であり、彼女たちにとって大切なことは、今日一日いかにラクをして稼ぐか。たまに、赤ちゃんをだっこして可愛がったりもしている。でも、彼らにとっての主役はいつだって自分。そこは悪い意味で揺るがない。

そこが私と彼女たちの違い。

前任の先輩もこの光景を毎日見ていたのだろう。彼女は何を思ったのだろう。

 

私は日本の看護師だ、自分が正しいと思うことをやろうと決め、もう一度調乳室に入る。瓶がきれいにならないことには、いくら赤ちゃんを抱っこして待っていても何も始まらない。

ドアをしっかりと閉め、周りに人がいないことを確かめてから、「あなたはいつも本当によく働いている。私は3ヶ月ここに住んだが、この国は平等ではない。ある人はずーっとおしゃべりして全く働かない。でも、あなたみたいな人はずーっと働いている。私は日本人で、日本はみんな同じ量の仕事をする。日本は平等だ。でもここは違う。あなたが沢山働いているから、私はあなたを助けたいと思う。」

 

「あなたの言ってることはわかった。でも、ここは平等ではない。これはノーマルだ。これがモロッコだ。」と言っていた。

沢山働かされても、理不尽だと思わないのだろうか…悔しいけど従うしかないのだろうか…。はじめは断られたが、二回目には、哺乳瓶を洗うのを手伝わせくれた。そして、洗い終わったあとに笑顔でとってもありがとうと言ってくれた。それが彼女の本音なのだろう。

ここは本音と建前の国。私は言葉も拙いし、モロッコに対してネガティブな内容を言うのには、なかなか勇気がいる。言い方も気を付けないといけない。ここではみんな建前しか話さない。モロッコの難しいところ。だから時間をかけなくてはならない。そして多面的に見続けないといけない。それは自分一人でやるには私には大きすぎる。自分のアセスメントやプランを客観的に評価してくれる人がほしい。

 

3ヶ月も住んでても、まだ何もモロッコのことを知らない。2年後もよくわからないだろう。そんな簡単にはなにかを理解することなんて出来ない。

そして、不思議なのは、ずっとしゃべってる人も指図されて働かされまくってる人も休憩室では仲良くおしゃべりしながらお茶するのだ。

 

全くわからない。でも、まだわからなくて当たり前なんだろう。

 


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8年目にして初の柄チェロキー。サイズは採寸までしてくれてなんと上下で2000円‼みんなこっちが恥ずかしくなるくらい褒めてくれる…

ついにエロキティだけではなくなった‼

ロッコでは、新しい服を買った人にたいして、「フスハー!(よりよい健康を‼)」という。おしゃれと健康が結び付いているのは、なかなかモロッカンらしい。

 

つづく。

私にとっての宗教

私には信仰している宗教などはない。

子どもの頃、確か小学校中学年くらいだったか…。

宗教という言葉を学校で習った日の夜、母に「うちの信じてる宗教何なの?」と、聞いたことがあった。学校の先生に家に帰ったら聞いてみましょう!と言われたから。私はつまらないくらい真面目な子だった。

すると、母は夕食をつくる手を休めて私に向き合い、「あのね、何かを信じるんじゃなくて、自分を信じなさい。人には裏切られるかもしれない。でも、自分はどんなときでも自分を裏切らない。自分で何が正しいのかちゃんと考えて、行動すればなにも裏切られない。お母さんも自分のことを信じてるし、あんたのこともちゃんと信じてるよ。」と言っていた。

それを聞いて、私はお母さんに信じてもらえてるんだと、子どもながらとても嬉しかった。

そんな母は朝に弱い。平日の朝は大体、学校に行く前に、私たち姉妹で朝ごはんを作って食べて、今日はどっちがお母さんを起こすかと妹も軽く喧嘩しながら決めて…母親に「お母さん起きて‼もういい加減起きないと仕事に遅刻するよ!」と叩き起こしてから、登校。そんなゆるーくお茶目な一面もある母だか、すごく芯のあるかっこいい大人である。

子どもの頃から、何かを禁止された記憶はほとんどない。勉強しなさいなんて言われたことはない。学校で、多くの親たちは勉強しなさいとか宿題しなさいと言うらしいと友達から聞き、母にどうして勉強しなさいって言わないの?と聞いたことがあった。すると、

「そんなこと言われたいの?そんな強制されてやることじゃない。やりたくないならやらなければいい。宿題しなくて学校で怒られて困るのあんたでしょ?あんたが勉強出来なかろうが、宿題しなくて怒られようが私は知らないし、私には関係ない。自分の責任だよ。自分で考えなさい。」と。そうか勉強しないまま大人になってから確かに困るのは私だ‼と思った。子どもの頃から、いつも自分のことをどうしたらいいか必死で考えていた。そして、結局私も妹も夏休みの宿題は、7月中に終わらせ残りの一ヶ月のバカンスを楽しんでいた、もしかしたら浮世離れした子どもだったかもしれない。

 

年頃になってからも「いつ、どこで何をやっていても構わない。自分で考えて決めなさい。自分でやったことには責任を持ちなさい。」といわれ続けた。いつ質問しても答えは自分で考えなさいか自分で決めなさいの2パターンであった。

そんなクールに見える母に、育児放棄されているのか、私たち子どもに興味がないのか?普通、子どものこととかもう少し心配しないのかな?と勝手に思っていた時期もあった。

20代の後半を差し掛かってから、ある年の離れた友達にこの事を言うと、

「お母さんすごいね。それは違うよ。そうとう信頼してるから言えるんだよ。私はどこにいてもいいなんて言えない。そりゃかわいい子どもたちだもん。本当はずっと近くにいてほしいに決まってる。」と言っていた。彼女は還暦付近の年頃のかたで30代の子どもが三人いる。確かにそういうことか‼と、長年の誤解にひどく反省した。

確かに子どもの頃から、あんたのことは信じてるから自分で決めて好きにしなさいと言われてきたなぁとふつふつと思い出した。

 

わたしには崇めて信仰する神様も何もないけれど、強いて言うなら母親のスピリットが存分に含まれた自分自身なのかもしれない。

それは、こっちに来てからすごく自分を支えているんだと最近気がついた。

お母さんありがとう。

 

夏物のおもちゃが増えてきた。ライフジャケットみたいなのがカラフルに売られている。サイズ展開も三種類もあった。海近いし、需要あるんだろなぁ。
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つづく。

自分をりっするということ

私がここにいるのは仕事でもないし遊びでもない。主役はいつでもモロッカン。

 

ロッコ国内には全部で300人弱の日本人がいたと思います。少し古い数字かもしれませんが、だいたいそんなもん。

その中で同じボランティアをしている仲間というのはとても貴重な存在で、遠い異国の中で、故郷の文化や言葉を共有し、モロッコで過ごすなかで大変なことなどを分かち合える仲間でもあるし、困った時などには助け合える関係にしておくことでこの国で過ごしやすくなると思うので、大事にしなくてはならないのだろう。

でも、ここにいる人たちは、私の考えと違う人が多いように感じる。そのため、日本人に会うたびにとても疲れる。

たまたまなのかモロッコという国にいるとそうなるのか、モロッコに来る人にそのような要素を持っている人が多いのか、よくわからない。

そのため、彼らとの関係を心から大切にしたいと思えない自分がいる。

 

 

どうして自分ここにいるのか、なんのためなのか、自分にとっての、モロッコにとっての、配属先にとっての、ボランティアとは何なのか、いつでも自分をりっしていく必要がある。

ボランティアであるから誰も、自分を咎めることはないし、アドバイスを求めれば意見を言ってくれるが、指摘されたりすることはない。ボランティアとは頑張れば頑張るほど、自分が苦しむし、満足しようとすればいくらでも自分のエゴで満足できると事務所のスタッフが言っていた。本当にその通り。

 

私の時のJICAボランティアの募集では、看護枠26の要請に100人が受験し、16人しか受からなかった。受かっても色々状況や事情があり派遣までたどりつけずに涙をのむ人もいるという。

日本一の語学学校という代名詞を持つJICAの語学プログラムのしかもフランス語(アラビア語とフランス語は、難関とうわさされている)の受講して…

こんなに生活を保障されて、過保護なほどの安全管理をされ、活動させていただいているだけで本当にありがたいと思う。

活動がうまく行かなくて辛いのも、語学が乏しくてコミュニケーションが充分にとれないのも当たり前だと思っている。だから、そこがしんどいとは思わないし、語学も好きだし、言葉が話せなくてもできることは沢山ある。

 

日本人と会うたびに失望して、残念な気持ちになっている。わたしもいつか、あとからモロッコに来た人にそう思われる人になるのだろうか。

絶対に嫌だ。

勿論素敵な人はいるし、一人一人は素敵でいい人である。いい距離で割り切って付き合っているが…うまく言葉にできない。

 

ネガティブなことを書いてしまい本当に申し訳ない。

 

続く。

 

受診 アイデンティティ

ロッコの受診システムは、日本と異なり、患者さんが重症であればあるほど辛い思いをすると感じている。入国してきてすぐに体調を崩したときは、冗談にできないほど具合が悪かったが、今回はとても元気な体調不良である。

 

 モロッコのクリニックの受診の流れについて。

①まず、近所のクリニックへ電話して時間を確認する。

もちろん、電話せず飛び込みで受診できるが営業時間中でも医師がいないこともあったり、長時間待機する必要があったりするため、具合の悪い人にはあまりお勧めできない。必要に応じては往診できる医師もいる。私は事務所の推奨するクリニックがあり、そこの医師はとてもよい診察とケアをしてくれる。

②受診し、診察を受ける。

仕事の中でも日々感じているが、この国の医師のスキルは個人差が非常に大きい。誰が主治医になるかで大きく変わってくる。日々悶々と考えさせられる…私には大きすぎるこの国の問題。

私の行くクリニックでは、体重と血圧、サチュレーションと脈拍の測定はスタンダードに行うよう。今回は、喉と耳の診察、胸部の聴診があった。症状を見て必要な観察ポイントをちゃんとおさえてくれていた。私は問診ですらすらとその場で症状の経過を伝えられないので、予め経過を手紙に書き診察室に入る前に医師に渡しておいた。その後、ボディランゲージと単語で状態を訴えて伝えたら、理解を得たようだった。

会計をする。検査がなければここで薬の処方箋が渡される。

③検査室へ移動する。

医師から診察結果を言われ、採血などの検査が必要な時は、検査室へ移動する。その検査室は、クリニックに併設しているわけでなく、他の場所に独立して「検査室」として機能しており、そこに看護師や検査技師が勤務している。検査結果は即日に出せる場所と物もあるが、場合によっては、1週間程度かかることもあるよう。

④クリニックに戻る。

必要な場合クリニックに戻り、検査結果を医者に見せる。必要な場合、大体は内服のために医師から処方箋がわたされる。

⑤薬局へ行く。

薬局で必要な薬を確保する。薬の種類が多かったり、使用頻度の少ない薬の場合は、1か所ですべての薬を集められないこともあるため、薬局をはしごしたりもする。でも、ここにないけど、あそこならあるかもしれないなどと教えてくれたりもするし、どれくらいの頻度でいつ飲めばいいかと薬の箱に書いて図示して教えてくれる。とても親切である。

⑥晴れて帰宅。

 

体調不良にはとてもしんどい作業が待っている。体調が悪くて辛いときほど受診が辛いと日本人の感覚の私は思ってしまう。でも、モロッコ人のことだから、結果治ればいいし、体調がわるければ家族で協力するだろうし、受診に時間と手間がかかるなんて、気にしないんだろうな。

 

今回は、スマートに受診するため、医師の携帯に受診したい旨を予めメッセージで送っておき、クリニックへ顔を出し、医者が来たら電話してと受付のおばちゃんにお願いし、所用を済ませてから、医師の出勤時間に合わせて診察してもらった。モロッコでこんなに物事がスムーズに進められたなんて、自分のなかでは大きな進歩である。なぜか私は一週間後に採血せよという指示を医師からもらった。甲状腺値の検査項目が入っていた。状腺機能低下などを疑われているのか…血圧が低めなのも、体重が少なめなのも日本にいるときからでこれがノーマリーだと訴えたが聞いてくれなかった。朝食に豆乳を飲んだと言ったら、「なぜ?」聞かれた。好きだからと返事したら、「はぁ?」やれやれというような反応…でも腕がいいからこれからも何かあったらこのクリニックにかかるつもりだ。そして、前回もお世話になった比較的大きな薬局なら揃うかと予測しやはり一発で一通りの薬をそろえ、飲み方を説明を一つずつしてもらい、昼食を確保して帰宅した。体調もそこまで悪くないため、楽に感じた。2回目だから要領をつかんでいるし、前よりもアラビア語が話せるからかもしれない。

今回はとても元気であったし、日本にいたらこれくらいでは仕事を休まない。でも、ここがモロッコであるということを考えると、絶対にこれ以上具合を悪くしたくない。この国で入院するようなことだけは避けたい…入院したらもっと具合悪くなったり、ほかの感染症をもらうのではないかと思うほど現場の環境を厳しい。体調管理の重要性をひしひしと感じる。モロッコで流行る感染症の多くは高熱がでないらしく、多少具合悪くてもみんな動き回ってしまう、そもそもマスクをするなんて考えもなく…感染症を移しあっているという現状もあるらしい。確かに今回私が体調を崩し始めた頃に、町でも職場でもくしゃみや鼻汁のある人が増えていた。

1か月のラマダーンの断食でみんな疲れて、栄養バランスも崩れて、抵抗力が下がったところに感染症が蔓延したのではないかという憶測が沸き上がってしまう。もちろん、ラマダーンアッラーの教えに則り断食することはリスペクトする。

 

家に帰り、食事をとり薬を飲み寝るが、体温が中途半端でなかなか汗をかけない。このままでは長期化する可能性がある。それは私にとって非常によくないこと。我が家の教訓なのか?子どもの頃から「風邪をひいたら集中して寝て、水分を沢山とって水分をたくさん出していっぱい汗をかいて、気合を入れて一晩で治せ!」といわれてきた。私は大体風邪をひいて熱がでても、食欲もあり、身体も動けることが多い。学生の頃は、熱が出ていてもマスクして部活をしたら元気になったこともあった。

汗をかくために「そうだ踊ろう!」と思いつき、ひたすら好きな音楽をかけて、踊る…水を飲む…踊る…水を飲む…楽しくなる。

子どものころから踊るのが好きだったそうで、「おどって~おどって~おどって~」といいながら、身体を動かしているかわいらしかった頃の私が実家の8㎜ビデオに残されている。小学生から中学生にかけては新体操をしていて本当に大好きだった。辞めた後もまたいつか踊りたいとずっと思っていた。職場でもチアダンスして楽しかった。踊ることは私のアイデンティティだと再確認する。

本当に具合が悪くて動けない人は、ちゃんと布団の中で休んでください。

おかゆを食べて、ひたすら踊って、いっぱい水を飲んで、一晩寝たらほとんど元気になった。念のためもう一日休みを取った。


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続く。

お昼寝 体調不良の記憶


少し前の休日…

 

こちらに来てから、知らない間に体力を使っているようで、休みの日にはよく午後にお昼寝をすることが多い。

 お昼ご飯には自作のホットケーキを食べてルンルンであった。少し生 焼けの部分があったが、お腹すいてたから気にせずペロリと食べてしまった。

満腹で眠くなりお昼寝、3-4時間寝ていたようだ。寝ている間にみた夢は、今まで見た中で格別にスケールの大きく、とてもメルヘンな夢であった。

夢の中で私は、びゅーんと地球を飛だし、宇宙の中を私服でプカプカしている。

ブラックホールが太陽系に近づいてきたから、こりぁまずいと左手で追い払ったりしていた…そんなことをしていたら、頭に被っていた帽子が何光年か先に飛んでいってしまい、隣にいた人がとってきてくれた。そこで目覚めた。

その前みた不思議な夢は、風が強くて木が根こそぎ飛んでくる夢を見た。その日はたしか、街路樹の幹が折れて大きな幹が落ちているのを見たからだと思う…

不思議な夢はよく見るけれども、いつもにましてスケールが大きくミステリアスな夢であった。そのあとネットサーフィン中に宇宙ごみの記事を見つけ、とても他人事には思えなかった。世の中には問題がありふれている…

 

昼寝から目覚めると、生焼けのホットケーキが見事にお腹にヒットする。しばらくトイレに立てこもる‼

南の地域のアフリカに派遣されている仲間たちは、水道水も飲めない地域で頑張っている。それなのに、私は生焼けでお腹を下すなんて、どれだけ格好悪いんだろうと反省する。ついでにトイレにたてこもりながら色々思い出していた。トイレというのは、どうも考えごとが捗る場所な気がするのは私だけだろうか?

そういえば、看護師新人時代に小児科の洗礼と称して、子どもの胃腸炎をいただき、上から下から大惨事になったことがあった。同じ寮にいた同期が毎日ドアの外に食糧を運んでくれたので、なんとか復活することができた。

その後は、ウィンドサーフィン中にうっかりゴンズイかエイに足を刺されて激痛に苦しんだ。忘れもしない、足はみるみる腫れ上がり血まみれ、痺れる痛み。たぶん私が海に足をいれたときにうっかり彼を踏みつけてしまったのだろう。ゴンズイさん…ごめんね、ビックリさせて。

 

最後に具合が悪くなったのは、去年の冬、人生においてたった1度かかったインフルエンザ。でも実際には非常に元気であった。熱はあるけど、気持ちも体もとても元気。家に軟禁されていることだけが唯一の苦しみであった…誰かと会いたい…喋りたい…

職場の人たちは、私が自宅で一日もこもるのが苦痛だとよくわかっていた。私自身も軟禁の苦しみのあまり、勿論ルール上働けないと知りながらも、早く仕事させてくれと涙ながらに懇願して先輩スタッフに笑われた。復帰後に聞いた話には、「誰か早く家にいって、彼女を柱かなんかにくっつけておかないと、大変だ仕事しに来ちゃうよ~‼」と職場の人たちに冗談を言われ笑われていたらしい。周囲の予想通り、急性期を脱した私は布団の中でじっとなんてしておられず、カーテンの洗濯から家具を動かして家の大掃除に明け暮れたインフル休暇であった。インフルでたくさん汗をかいてデトックスなのか肌もきれいになり、家もきれいになり、結果的に色々すっきりのインフル休日であった。

 

そんな私が、よく一月近くラマダン中に家の中でじっとしてられたもんだ。買い物などは行ったが、なるべくこもって、フランス語の勉強したり読書したりして過ごした。やはり海外で生活してるだけで、身体には負担になり、少し疲れるのかもしれない。もう随分慣れたつもりだったが、まだまだなのだろう。ようやく休日の朝から動き回れるようになってきた…

少しずつ本来の自分の姿を取り戻しつつあるようだ。

 

 

と、数日前に記載していた。

 

 

そんなことを書いていたら…

 

数日前から鼻水が垂れる?

喉が赤い!うがいするが全く変わらず…なんかしらのウイルスか?

そして、昨日、初の発熱‼

これじゃ働けん。悔しい‼

 

やっと自分を取り戻しつつある、これから色々働きかけていこうとした矢先のこと、非常に悔しい‼

私はモロッコのためにやりたいこと、山のようにある。でも、受け入れる側のモロッコ

ロッコのペースでしか受け入れられない。私の身体もひとつしかない。仕方ないのだろう、きっと今は焦るなということなのだろう。

 

気がつけば、悔しいという感情が久しぶりに沸き上がっていた。心はとても元気になったようだ。あとは身体‼

こっちで見つけて以前買っておいたワカメ。「wakame」って日本人しかわからないでしょ?って心の中で突っ込みつつ。


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日本の友達から餞別にもらったお味噌汁にワカメを入れて、今こそ飲むとき!?だろう。

いただきます。

 
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 続く。